契約の解除・原状回復・支払金の返還等について

大家さんから敷金の精算書が届いたのですが、原状回復費用その他で30数万円の請求を受けました。 部屋を汚したこともなく、あまりに高額なためびっくりするのと同時に憤りを覚えました。支払わなければならないのでしょうか?

借主が借りていた住宅を退去するときは、住宅を元の状態に戻して大家さんに返す必要があります。 このことを原状回復義務といいますが、ここでいう原状回復とは住宅を完全に入居時の状態に戻すということではなく、故意または過失で部屋を汚したり壊したりしたほか、家主に無断で原状を変更したときに負う責任をいいます。
ですから、基本的には通常の使用によるふすま、障子、畳、壁紙などの自然損耗については入居当時の状態より悪くなったとしても、そのまま家主に返せば足りると考えられます。自然に損耗した部分の原状回復費用は家賃の中に含まれていると考えられるからです。
しかし、契約書中に取り決めがなされている場合で軽微なものについては、慣習上の問題もあり一部借主に負担してもらうとの考えもあります。  
ご質問の方のように、普通の状態で使用しており、故意過失関係なく部屋を汚したり壊したりしていないと思われるのであれば、大家さんに費用の見積書を請求して賃貸借契約の内容と照らし合わせ、支払う義務があるかどうか確認し、納得がいくまで大家さんと話し合いをされたらいかがでしょうか。

 今後の問題ですが、  契約時に大家さんに退去するときの原状回復の範囲と負担の方法について確認する。  入居時に家主の立ち会いのうえ住宅の状況を確認する。  退去するときも修繕箇所を家主とともに確認し、過失による損耗と自然損耗の区別をはっきりさせる。   以上のようなことに注意しましょう。

事情があり、どうしても借家を明け渡してもらいたいのですが、先日借家人の転居先も見つかり、立退料の額について合意に達すれば立ち退いてもよいと言ってくれています。 そこで質問ですが、立退料の算出について合理的な手法があれば教えて下さい。 それと旧借地借家法と考え方の違いがあれば教えて下さい。

平成4年8月1日施行された新しい借地借家法において、明け渡しを求める際の正当事由の判断について、立退料の申し出も考慮することが明文化されました。  正当事由が不足すると思われる場合、立退料の提供をしたり不足分をカバーするという今までの慣行を明文化しただけで、新たに立退料を容認する制度ができたわけではありません。ですから新旧で実質的な変更はありません。

次に借家の立退料の算定をする場合の手法ですが、次のような費用が考慮されます。  
1. 移転費用(引っ越し費用、設備などの移設費用、移転通知費用などです)。
2. 造作買い取り費用(借家人が家主の承諾を得て行った建具などの造作を引き取る費用です)。
3. 借家権価格(借家権の経済的利益を算出し、土地や建物価格に一定割合の借家権割合を乗じて算出します)。
4. 営業補償金(借家人が何か商売をしていた場合、移転することに伴い生じる損失の補償です)。

立退料は具体的なケースに応じて総合的に判断されるものです。  画一的に決まるものではなく明確な方程式があるわけではないことに注意して下さい。

大家です。来春、私の長男が結婚します。そこで現在賃貸している借家を明け渡してもらいたいのですが、入居しているのは先代からの借家人で、そこの息子と私は同級生で幼なじみでもあります。 このような事情もあり、なるべく円満に明け渡しをお願いしたいのですが、何かよい方法はないでしょうか?

 法的な制度としては、このような問題を解決するために「調停制度」というものがあります。これは、普通の裁判のように対立する当事者の間で主張の正否を決めて解決するのではなく、お互いの意見を話し合いにより調整し、解決を図ろうとするものです。  
具体的には知識や経験豊富な第三者、一般的には裁判官である調停主任と調停委員2名以上で構成された調停委員会で、当事者を斡旋して条理にかない実状に即した解決を図ろうとする制度です。   当事者だけの話し合いでは、どうしても感情的になって自分の意見を冷静に相手方に伝えることができなかったり、相手方が冷静に聞いてくれなかったりして紛糾することがありますが、そのようなときは、調停委員会が間を取り持ち問題を整理して話を進めてくれます。   
また、訴訟では申し立てた側の意見が正しいかどうかの判断だけですが、調停は相互の意見を出し合いある点では譲歩し、またある点では譲歩を求めるなどして解決内容を自由に決めることができます。  調停の申し立ては相手方の住所地を管轄する簡易裁判所となっておりますので、詳しくはそちらでお尋ね下さい。

借家人が家主である私に無断で借家の「和室」を「洋室」に改造してしまったのです。 洋室にするとフローリングによる階下への騒音問題も気になりますし、家主である私に一言の断りもなく、このような改造工事を勝手に行った借家人に対しての怒りがおさまりません。 このうえは、信頼関係の破壊ということで賃貸借契約を解約したいのですが、賃貸借契約書の中に今回のような「無断改造」の禁止規定を入れてなかったのです。 契約条項にないので解約は難しいでしょうか?

一般的に賃貸借契約を解約できる内容としては、次のようなことが考えられます。

1. 家賃の滞納、不払い
2. 賃借権の無断譲渡、転貸
3. 無断増改築
4. 使用目的の無断変更
5. 共同生活の保全に反する行為の繰り返し、などです。  

 今回の場合は、3.の無断増改築にあたり、契約の解除はできることになります。ただ、契約書中にこの条文がないとのことですが、民法では賃貸借契約においてその使用目的を特約で特定した場合はもちろん、特約がなくても借家の構造、周囲の環境等から使用目的が定まる場合には、 そのことに従って借家を使用しなければならない「用法遵守義務」があるのと同時に、使用目的に照らして一般的に要求される注意を持って借家を保管しなければならない「善管保管義務」が借家人に対して課されており、このことに違反した場合は契約解除は可能と考えられます。   
しかし、できるだけ先ほど列記したような契約解除条項は賃貸借契約書中に定めておいたほうが入居者にとってもわかりやすく、なんといってもトラブルの未然防止に繋がると考えて間違いないと思います

賃借人が入居6か月後から何の連絡もなく長期不在となり家賃が不払となりました。部屋には古いたんすやダンボールなどが残されたままになっています。室内の整理や、次の賃借人の募集、不在者に対する契約解除等どのような点に注意して対処したらいいのでしょうか。

貸主や、管理業者が勝手に残置物を処分するなどの行為は、認められていません(自力救済行為の禁止)。まずは連帯保証人等に状況を説明し、滞納家賃の支払いや室内の整理を伝えるべきと思えます。そうでなければ面倒であっても法的手続により処理することになります。借主に対し契約の解除および明渡しとともに、滞納賃料支払の判決を求める訴えを提起し、その判決に基づいて、残置動産の差押競売をすることにより処分します。借主の所在がわからない場合は、公示送達の手続により行いますが、契約解除の意思表示を訴状に記載すると、裁判所の手で公示送達されたことになります(民事訴訟法113条)。

 

 

 

 

私が借りているアパートの家賃を3月分滞納したら、大家さんが怒って、私の不在時に家財道具をアパートの前に出し、鍵を交換して、私が部屋に入れなくなるようにしました。今の鍵を壊して自分の部屋に戻ってもいいでしょうか。

自力救済(自分の力で権利の行使を図ること)は、よほど特別な事情がある場合を除いては禁止されており、大家さんの行為は許されるものではありません。だからといって、鍵を壊して部屋に戻ることも認められません。   賃貸借契約は、貸主と借主の信頼関係によって成り立っているものです。滞納分の支払いについて誠意を持って話し合い、鍵は直ちに開けてもらってください。

私がアパートの家賃を滞納していることを、管理業者が私の断りなしに勤務先の上司に告げました。そのことで、私の会社内での立場が悪くなり退職せざるを得なくなってしまいました。この業者の行為は個人情報保護法違反であるとして、損害賠償請求ができますか。

個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の合意が必要であると規定しています(オプトアウトの措置を講じている場合は、本人の同意はいりません)。個人情報取扱事業者が個人情報保護法に違反したときは、一定の罰則を受けることになります。また、民法上、不法行為責任を問える(損害賠償請求できる)可能性もありますが、具体的には弁護士等の法律の専門家に相談してください。   なお、勤務先の上司が、あなたの連帯保証人であるなどの特別な事情があるときには、管理業者が滞納について告げたことが、直ちに法令違反とはいえない場合もあります。

家賃を3カ月滞納してしまい、大家さんから退去の通告をされました。確かに契約違反をしているわけですが、即退去しなければならないのでしょうか?

借主の契約違反などにより、大家さんとの間の信頼関係が破壊された場合には、賃貸借契約は解除されることになりますが、家賃の不払いの場合、信頼関係が破壊されたか否かは、単に滞納の回数だけでなく、滞納に至る事情、従前の支払状況等により総合的に判断されることになっています。ただし、3カ月以上の滞納がある場合は、それだけでも契約解除事由とされることもあり得ますので、先ずは延滞分の解消策等について、誠意をもって大家さんと話し合ってみましょう。

家賃の支払いが1ヵ月以上滞っている借家人がいます。 賃貸借契約書中には、借家人が1ヵ月以上賃料の支払いを怠ったときは、家主は何等の通知催促を要せず賃貸借契約を解除することができるとの条項があります。 この契約条項を楯に日頃も態度の悪いこの借家人との賃貸借契約を解約したいと思いますが、問題はないでしょうか?

借家人に今回のケースのように家賃不払いがある場合において、家主が賃貸借契約の解除を実行するには、

1. 借家人に軽微とはいえない家賃の不払いがあること。
2. 家主が相当の期間を定めて家賃の支払いを求める催告をしていること。
3. 借家人がその催告期間内に家賃の支払いをしていないこと。
4. 家主が契約解除の意思表示をすること、などの条件が必要です。

1.の家賃不払いの程度としては、賃貸借契約の基礎をなす借家人と家主の信頼関係を破壊する程度と考えられ、判例等見てみますと最低3ヵ月は必要なようです。
2.の催告の期間としては1週間程度は必要だと思われます。

  以上のことから、残念ながらご質問の1ヵ月程度の家賃不払いでは、家賃支払い義務違反としては軽微であり、借家人と家主の信頼関係の破壊とまでは言い難く、契約解除は認められないでしょう。 また、契約書中の無催促解除条項についても、あまりに家主側にとって有利な特約と解され、悪くすれば公序良俗に反する契約内容ととられるかもしれません。   粘り強く督促されることをお勧めします。それでも借家人に反省がなければ、そのことが解約の理由となるでしょう。  

不動産業者が貸主になっているアパートを借りています。契約書に手書きで「借主は2年間退去できない」とありますが、1年前の入居時には気づきませんでした。数ヶ月後に退去する可能性があります。残りの期間の家賃も払わなくてはならないのですか。

残りの期間の家賃(違約金)については、その金額が暴利行為といえる場合にはその全部又は一部が無効になると解されており、裁判例では賃料の1年分を超える部分の違約金を無効と判断したものがあります。

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