借主の変更について

永年個人経営でクリーニング店を営んできましたが、税金対策上の問題もあり会社組織に変更しました。会社組織といっても社長は借家人である私で、専務は私の配偶者、息子が課長という形だけの株式会社なのです。 しかし、以前から私に立ち退きを迫っている家主は、無断で個人から会社へ借家権を譲渡したのだから賃貸借契約の解除事由が発生しており、即刻契約を解除するので出ていってくれと言います。 家主に無断で組織替えを行ったのはちょっとまずかったかなと思いますが、実質はなにも変わっていないのです。 それでも私のしたことは家主の言うように無断譲渡になり、解約理由となるのでしょうか?

法律は借主が建物の借家権を譲渡したり、転貸したりする場合は、事前に家主の承諾が必要とされ、これに違反した場合は家主は賃貸借契約を解約して借主を立ち退かせることができると規定しています。 そこで今回の個人で借りた店を法人組織にして営業する場合、会社への借家権の譲渡や転貸になるかということですが、先ほどの規定をストレートに解釈すると、当然ながら個人と法人では人格が違い、従来個人で店舗を営業していたものを会社組織に変えて営業すれば、借家権を別人格たる会社に譲渡した又は転貸したととられかねません。   
しかし、今回の場合のようにその会社組織なるものが、全く形式的なもので、実態は従来通り借家人個人の営業と変わりないという場合、家主に対する背信行為がないので、家主側に契約解除権は発生しないとする判例が多数あります。 ですから、家主の言い分は若干無理があるようです。いずれにしても何か契約事由に変更があれば、家主に断ってからのほうがよいでしょう。

賃貸アパートに娘と2人で住んでいます。現在、契約者名義は、娘名義となっていますが、私名義に変更すれば、現在勤めている会社から住宅手当が支給されることが分かったので、管理会社に、名義変更を申し込みました。管理会社からは「名義変更するには、手数料として3万5千円かかる」と言われましたが、契約当初から私が同居していることは貸主も了解しており、名義を変更するだけなのに、こんなに高額な金額を請求するのは不当な気がしますが、どうでしょうか。

本件のような手数料の額は、契約当事者の合意によって決まるものですから、任意に減額交渉をすることは可能ですが、交渉に当たっては、借主名義の変更は、法律上「借主としての地位の譲渡」に当たるということに留意する必要があります。   民法では、賃借人が第三者に賃借権を譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要とされています(612条1項)が、賃貸人には、この地位譲渡を当然に承諾しなければならない義務はありません。つまり、名義変更(借主としての地位の譲渡)を認めるかどうかの判断は貸主の意思に委ねられていることになり、名義変更について手数料がかかることも一概に不当とはいえません。貸主とよく話し合ってください。

これまでは勤めている会社が大家さんと契約してアパートを借り、そこに住んでいましたが、今度、会社を退職することとなり、私自身が借主となることになりました。この場合に、新規契約として新たに敷金や礼金を払えと言われましたが、そうしなければならないものでしょうか?

賃借人が変わり新たな賃貸借契約を締結することになりますので、新規の契約内容に基づいて、 敷金や礼金が発生することになると思われますが、大家さんと十分に話しあって金額等を決めてください。

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