永年個人経営でクリーニング店を営んできましたが、税金対策上の問題もあり会社組織に変更しました。会社組織といっても社長は借家人である私で、専務は私の配偶者、息子が課長という形だけの株式会社なのです。 しかし、以前から私に立ち退きを迫っている家主は、無断で個人から会社へ借家権を譲渡したのだから賃貸借契約の解除事由が発生しており、即刻契約を解除するので出ていってくれと言います。 家主に無断で組織替えを行ったのはちょっとまずかったかなと思いますが、実質はなにも変わっていないのです。 それでも私のしたことは家主の言うように無断譲渡になり、解約理由となるのでしょうか?

Date2013.3.03 Category

法律は借主が建物の借家権を譲渡したり、転貸したりする場合は、事前に家主の承諾が必要とされ、これに違反した場合は家主は賃貸借契約を解約して借主を立ち退かせることができると規定しています。 そこで今回の個人で借りた店を法人組織にして営業する場合、会社への借家権の譲渡や転貸になるかということですが、先ほどの規定をストレートに解釈すると、当然ながら個人と法人では人格が違い、従来個人で店舗を営業していたものを会社組織に変えて営業すれば、借家権を別人格たる会社に譲渡した又は転貸したととられかねません。   
しかし、今回の場合のようにその会社組織なるものが、全く形式的なもので、実態は従来通り借家人個人の営業と変わりないという場合、家主に対する背信行為がないので、家主側に契約解除権は発生しないとする判例が多数あります。 ですから、家主の言い分は若干無理があるようです。いずれにしても何か契約事由に変更があれば、家主に断ってからのほうがよいでしょう。

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